おちくぼ姫/田辺聖子
1000年前の日本版シンデレラストーリー
あらすじ
"貴族のお姫さま"なのに、意地悪い継母に育てられ、召使い同然、粗末な身なりで1日中縫い物をさせられ、床が一段低く落ちくぼんだ部屋にひとりぼっちで暮らしている姫君——。
中納言である源忠頼の娘で、母親と死別した後に継母である北の方と暮らすことになった落窪の君。
亡くなった母親は皇族の血筋だったため本来の出自は継母や異母姉たちよりはるかに高いものの、継母と4人の異母姉妹たちから下女同然の扱いをされ虐げられ続けていた。
そんな落窪の君の数少ない味方であった落窪の君に仕える女房の阿漕は、自身の夫である帯刀を介し、美男子として評判の高かった右近の少将に落窪の君を紹介し、仲を取り持つ。
千年も昔、日本で書かれた王朝版「シンデレラ物語」。
『落窪物語』の姫君と貴公子のラブ・ストーリーが現代語訳されている。
補足
発売:1990年、初版:1979年
出版社:角川書店
頁数:230頁
『落窪物語』は、平安時代末期、10世紀末頃とされている。作者は未だ不明。
全4巻の物語のうち、『竹取物語』の作者ではないかと言われている源順や、最終巻を『枕草子』の作者である清少納言が一部書いたという説もある。
ひとこと
まさに王道、和製シンデレラストーリー。
おちくぼ姫と右近の少将の他、阿漕と帯刀の関係性などもとても素敵に描かれています。
現代語訳されているので古典作品が苦手な方でも読みやすく、寧ろ、単純に恋愛小説としても楽しめるような本なので、小説は苦手…なんて方にも楽しんで読めるのではないでしょうか。